こんにちは、Big L(ビッグエル)です!
ラグビーのゲームをより楽しく、ダイナミックなものにしている要素の1つが『競技規則』です。
私もラグビーの指導をしていますが、さまざまなケースで発生するのが『オフサイド』
初心者や観戦する方々も理解に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では
- オフサイドって何?
- オフサイドの種類について教えて!
そのような悩みにお答えします。
『オフサイド』が理解できれば、プレーを楽しんだり、ゲームの流れが掴めて観戦を楽しむことに繋がります。
競技規則(ルールブック)の内容を噛み砕いて、誰にでもわかりやすいように解説していきます。
ぜひこの記事を最後まで読んでいただき、読者のみなさまの問題解決に役立ててください。
それではよろしくお願いします!
『オフサイド』とは
オフサイドを簡単に説明すると
『プレイヤーがプレーに参加できない位置にいる状態』
を指します。
競技規則では
位置に関する反則で、プレイヤーが罰を受けることなくゲームに参加することはできない。
参考文献:WorldRugby競技規則より
となっており
初心者にとってはよくわからない表現になっています。
こちらの文言を言い換えると
『オフサイドの位置ではプレーに関わってはならず、関わるのであればオンサイド(プレーができる位置)まで移動すること』
という解釈となります。
当然、オフサイドの位置からプレーに参加し、プレーの結果に影響を与えてしまうと、そのプレイヤーに対して反則が適用されます。
では、どのようなケースがオフサイドなのかを一緒に学んでいきましょう。
オフサイドの種類
激しく攻守が入れ替わるラグビーですが、同時にオンサイドやオフサイドの位置も素早く切り替わります。
初心者などにとっては速すぎて理解できない場面でも、ケース別に分けて理解し練習することで、必ずプレーに応用できるようになります。
『立ち位置』のオフサイド
プレー中、ラックやモールなどの密集や、プレーが再開する際のスクラムやラインアウトでもオフサイドとオンサイドの位置があります。
オフサイドとオンサイドを分けるラインを『オフサイドライン』といいますが、ラックやモール、スクラムやラインアウトの際には、必ずオフサイドラインより自陣側に戻らないとプレーに参加することはできません。
それでは、ラックやモール、スクラムやラインアウトのオフサイドラインの位置やオフサイドの反則について以下で解説していきます。
ラックにおけるオフサイドラインと立ち位置オフサイド
ラックを簡潔に説明すると、以下の写真のような『タックル成立後にできる密集』のことを指します。
ラックが成立すると、ラックに参加しているお互いの最後尾にいるプレイヤーから、仮想のゴールラインに並行した『オフサイドライン』が形成されます(下図参照)
また、ラックがゴールライン上でできた場合はオフサイドライン(特にディフェンス側のオフサイドラインを示す場合が多い)はゴールラインになります(下図)
オフサイドラインが形成された後は、ただちにオフサイドラインより自陣側に戻らないといけません。
オフサイドのプレイヤーが直接プレーに関わってしまうと、ペナルティキックの反則が適用される可能性があります。
モールにおけるオフサイドラインと立ち位置オフサイド
ラックとは別に『モール』という密集もあります。
モールは、ボールを持っている人が相手プレイヤーに立った状態で捕まった際、サポートの味方プレイヤーがボールをもっているプレイヤーとボールを共有することで成立します(下図参照)
そんなモールにおけるオフサイドラインは以下の図のように形成されます。
モールの場合もラックと考え方は一緒で、モールに参加しているお互いの最後尾にいるプレイヤーから、仮想のゴールラインに並行した『オフサイドライン』が形成されます。
モールは成立時の状態を維持したままであれば、前進することができます。
その際にゴールラインを超えた場合、オフサイドライン(特にディフェンス側のオフサイドラインを示す場合が多い)はゴールラインになります。
こちらも、オフサイドのプレイヤーが直接プレーに関わってしまうと、ペナルティキックの反則が適用される可能性があります。
スクラムにおけるオフサイドラインと立ち位置オフサイド
ノックオンやスローフォワードなどの軽微な反則が起きた際にスクラムにより試合が再開されます。
スクラムにおけるオフサイドラインは下図の通り
スクラムに参加していない(スクラムを組んでいない)プレイヤーのオフサイドラインは以下のようになります。
【スクラムハーフ】
ボール投入側は相手チームのボールの位置または自チームのスクラムに参加している最後尾のプレイヤーの足のラインがオフサイドライン
【その他のプレイヤー】
スクラムの最後尾から5m離れた地点がオフサイドライン
スクラムからボールが出た時にオフサイドラインは解消されプレーが開始されますが、ボールが出る前にオフサイドの位置にいたり、オフサイドの位置に飛び出たりするとペナルティキックの反則が適用される可能性があります。
ラインアウトにおけるオフサイドラインとオフサイド
ボールがコートの外に出た場合は、ラインアウトという手法でプレーを再開します。
そのラインアウトにおけるオフサイドラインは以下の図の通り
それぞれのプレイヤーの立ち位置を簡単に解説すると
【ラインアウトに参加するプレイヤー】
- マークオブタッチを中心にして図のように並び(お互いのチームから2名以上は参加)相手との距離を1m空ける。
- スローワー(ボールを投げ入れるプレイヤーのこと)のすぐそばの相手プレイヤーは5mラインから2mかつマークオブタッチから2m離れた位置に立つ
- レシーバーはラインアウトから2m離れた位置に立つ
【ラインアウトに参加しないプレイヤー】
- マークオプタッチから10m離れたところに立つ
となります。
このことを踏まえて、ラインアウトに関するオフサイドは以下の通り。
【ラインアウトに参加しているプレイヤー】
ラインアウトが開始(スローワーによりボールが投げ入れられた時)される前にマークオブタッチを越える。
【ラインアウトに参加していないプレイヤー】
ラインアウトが解消される前に10mラインを越えてプレーに参加する。
どちらもペナルティキックの反則が適用される可能性があります。
『キックオフサイド』『ノックオンオフサイド』など
スクラム、ラインアウトやキックオフなど以外を『オープンプレー』といいます。
見出しのオフサイドを解説する前にオープンプレーにおけるオフサイドについて、競技規則では以下のように解説されています。
10条1.オープンプレーでは、ボールを持っている、または、最後にプレーした味方の前方にいるプレイヤーはオフサイドである。オフサイドのプレイヤーは、プレーを妨げてはならない。これには、以下を含む。
a.ボールをプレーする。
b.ボールキャリアー(ボールを持っているプレイヤーのこと)をタックルする。
c.相手がしたいと思うプレーをさせない。
参考文献:WorldRugby競技規則より
上記条文の
『ボールを持っている、または、最後にプレーした味方の前方にいるプレイヤーはオフサイドである』を図で説明すると以下の図1、2ようになります。
図1:ボールを持っているプレイヤー(ボールキャリアー)の前にいる味方のプレイヤー
図2:ボールを最後にプレー(パス、キック等)したプレイヤーの前にいる味方のプレイヤー
この『オフサイドプレイヤー』が以下のことをするとオフサイドの反則を適用されることがあります。
a.「ボールをプレーした」(図3)
図3:オフサイドプレイヤーがボールをプレーしたときの図解
この条文の内容でよくある反則は
ノックオンオフサイド | ノックオンをしたプレイヤー(最後にボールをプレーした)の前にいる味方のプレイヤーがボールをプレーした時に適用される。 |
ノックオンオフサイド以外の同様のケース | 手以外の体の一部にボールが当たることによって、ボールをキャッチし損ねたプレイヤーの前にいる味方プレイヤーがボールをプレーした。 |
b.「ボールキャリアー(ボールを持っているプレイヤーのこと)をタックルする。」(図4)
図4:オフサイドプレイヤーがボールキャリアーをタックルした。
この条文の内容でよくある反則は
キックオフサイド | キックをしたプレイヤーの前方にいる味方のプレイヤーが、そのキックをキャッチした相手側プレイヤーにタックルする(またはタックルしようと働きかける) |
その他のケース | ボールをキャッチし損ねて、相手にボールが渡ったとき、そのボールをキャッチし損ねたプレイヤーの前方にいる味方プレイヤーが相手にタックルをするケース |
c.「相手がしたいと思うプレーをさせない」
この条文の内容でよくある反則は
キックオフサイド | 上記10条1(b)のケースにおいて、タックル以外でも、オフサイドプレイヤーが相手のキャッチの妨げとなった場合はこのケースに該当します。 |
キック時の『10m規則』に反するオフサイド
以前は「10mサークルオフサイド」と呼ばれていた反則の種類になります。
ハイパント(高くボールを蹴り上げるキックの種類)キックが蹴られた際によく起こる反則です。
簡単に説明すると
「キック後にボールがキャッチまたは落下する想定上の場所から10m以内に味方のプレイヤーがいた場合、そのキャッチまたは落下すると予想される地点から自陣側に10m後退しないといけない」
ということです。
図で解説するとこんな感じです(図5)
図5:10m規則によるオフサイド
この反則が適用された場合は、キックがあった地点からのスクラムか、オフサイドが起こった地点からのペナルティーキックを反則を犯していない側のチームが選択できます。
『ロイタリング』の禁止※2024年7月より適用
キッカーより前に残っているプレイヤーを『ロイタラー』といい、キッカーより前の位置かつボールよりも10m離れた地点でそのまま留まることを『ロイタリング』といいます。
これまでは、ボールキャリアから10m離れていれば、ロイタリングをする行為も認められていましたが、2024年7月より、この『ロイタリング』が反則の対象となりました。
『ロイタリング』の禁止によって、キッカーの前にいるプレイヤーは後退するよう努力することが求められることになりました。
アクシデンタルオフサイド
次は、やむおえずオフサイドのプレイヤーがプレーへ関与してしまう『アクシデンタルオフサイド』についてです。
競技規則では以下のように示されています。
10条5.プレイヤーがやむなく、ボール、または、ボールキャリアに触れてしまった場合はアクシデンタルオフサイドである。反則をした側のチームが利益を得る場合のみ、プレーが停止される。
参考文献:WorldRugby競技規則より
具体的な例を紹介すると
『前方にいる(オフサイドの)味方プレイヤーに接触したと同時に、そのオフサイドプレイヤーが邪魔となって相手のタックルの妨げになってしまった』
その他には
『キックしたボールが前方にいる味方(オフサイドのプレイヤー)に当たってボールの軌道が変わり、再び味方のプレイヤーがキャッチしてゲインを切られてしまった』
などのケースがあげられます。
このような場合は、軽微な反則として『アクシデンタルオフサイド』が適用されることがあり、反則をしていない側のチームのスクラムによりプレーが再開されます。
オープンプレーにおいてオフサイドプレイヤーがオンサイドになりうるケース
次は、オープンプレー中にオフサイドの位置にいるプレイヤーが、オンサイドになる(正確には「なりうる」)パターンについて解説します。
まず、見出しのことについて競技規則では以下のように示されています。
10条6.いずれのオフサイドプレイヤーも、そのプレイヤーが以下のことをした場合、オンサイドになりうる。
a.ボールを最後にプレーした味方の後方へ移動する、または、
b.オンサイドの位置にいる味方のプレイヤーの後方へ移動する。
10条7.競技規則10.4(c)を除き、オフサイドのプレイヤーは、以下の場合オンサイドになりうる。
a.オンサイドの位置にいるそのプレイヤーの味方が、オフサイドのプレイヤーを追い越し、競技区域内にいる、または、再び入る。
b.そのプレイヤーの相手側プレイヤーが
ⅰ.ボールを持って5m動いた、または
ⅱ.ボールをパスした。または
ⅲ.ボールを蹴った、または
ⅳ.ボールを獲得することなく、故意にボールに触れた。
参考文献:WorldRugby競技規則より
競技規則の図がわかりやすいので、その図を引用します。
10条6、10条7において『なりうる』という曖昧な表現になっているのは
『そのオフサイドの位置にいるプレイヤーがどの程度プレーの継続に影響を与えたかが考慮される』
ということを意味しています(私はそのように認識していると言った方が正確)
ですので、本来はオンサイドになる行為をしていても、レフリーが
『オフサイドの位置にいるときに相手のプレーの継続に影響を与えた』
という判断をした場合は、反則に該当する場合があるということなのです。
まとめ
長文になりましたが、これまでの解説をまとめたいと思います。
オフサイドとは
プレイヤーがプレーに参加できない位置にいる状態
を指します。
ゲーム中は
オフサイドの位置ではプレーに関わってはならず、関わるのであればオンサイド(プレーができる位置)まで移動すること
が全プレーヤーに求められます。
今回はオフサイドの種類として
- 立ち位置オフサイド(ラック、モール、スクラム、ラインアウト)
- 『キックオフサイド』『ノックオンオフサイド』など
- 『10m規則』※以前の10mサークルオフサイド
- アクシデンタルオフサイド
などについて解説しました。
また、オフサイドの種類だけでなく、オープンプレーにおいてオフサイドプレイヤーがオンサイドになりうるケースについても知ることで、ゲームの流れが掴めるようになります。
以上、この記事がラグビー初心者やラグビー観戦をする際の参考になれば嬉しいです。
他にも、本ブログはラグビーに関する知識などを発信しています。以下の記事も参考にしてみてください。
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それでは、また!
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